子供・家庭基本法の制定を
北九州市保母会会長 藤岡佐規子
「児童福祉って何だろう」。保育最前線で日々子供と触れ合いながら、保母たちは今、自分の仕事の意味を見失うまいとしてもがいています。
戦後の混乱期に制定された児童福祉法は、その原点に、どんな社会であっても“子供の幸せは守っていかねば”という精神を貫いていました。
50年たって、改正された児童福祉法は子供の幸せを守るものになっているでしょうか。
生活の利便性のみが追求される消費社会の中で、人を育てるという営みまでが、利便を提供するという方向に傾斜し、子供から遠ざかる親、その影響からか愛の充足感も自分への信頼感を持つことができず、さまざまな症状を見せる子供たちを前に、私たちは子育て放棄に加担しているのではないかと悩んでいます。長時間、乳児、子育て支援等々条件未整備のまま、それにこたえながら、円形脱毛、過食等の気になる育ちに、今、最もストレスをためているのは保母ではないでしょうか。
男女共同参画社会の形成を目指し、これまで不利益を被っていた女性のための法整備が着々と進められる一方、子供の権利条約を批准したこの国で、今年施行された改正児童福祉法に子供の権利を守るための歯止めの規定がないのが残念で仕方がありません。
深刻な少子化から末来への責任と選択が最重要課題であることは十分認識しています。世論砂高まりがさまざまな分野で子育て支援の行動につながっていることも喜ばしいことだと思います。しかし、歯止めがないだけに、少数の子供をターゲットにした情報提供や、利便提供の数々は、おむつを換える、おんぶ、だっこで親と触れ合う体験が子供の将来にとってかけがえのない宝物であることを忘れさせるのではないでしょうか。だれが気付いてくれるのでしょうか。
女性のための法整備は大いに進めたい、と同時に、男女共同参画基本法と同様、子供・家庭基本法の制定を急いでほしいのです。
少子化の回復は、出産、育児を男性の問題としなければ期待できないでしょう。「企業中心かち家庭に優しい社会への転換」を本気で進め、男も女も人間らしい生活の中で次世代を人間らしく幸せに育ててほしい。保育所はその応援団です。


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