保育は人手のサービス
藤岡佐規子
曖抹模糊(あいまいもこ)としていた保育制度改革の内容が、政令の改正、最低基準の一部を改正する省令等で具体的にみえ始めた。
政令には、男女共通の「保育士」と名称変更はなされたが、保母会の要望した「主任保母の専任化および配置」「保育指針に準拠した保育内容の明記」は最低基準に反映されなかった。特に納得できないのは、乳児保育の一般化にかかる保母定数が現行通りの「乳児又は、3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人」と全く変わっていない点である。
以前、本欄に「過密とかみつき」と題して、3歳未満児人口の急激な増加に伴って、乳児担当の保母たちが持つ最大の悩みであった「かみつき」について、その予防、対処の方法をより効果あるものにするための組織研究について紹介したことがある。
900余件の事例から、かみつきの臨界期、発生時間・場面、動機を特定し、かみつきを誘発する囚子に保育密度の高さがあり、その緩和を原理とする予防のための保育行為のあり方の検討である。
その際にも、一日の保育時間において「望ましい密度」の域を超える精神的過密状態の発生を予防するには、人手の増員以外に改善策のないことを強調した。
事例の中には、「注意」「叱責(しっせき)」という対応とは別に、子供の不安定な気持ちや動機を共感的に受け止めたり、かみついた子供の興奮や動揺を他の遊びに誘い「気分転換」の後、気持ちの落ち着いた時点で注意する等の対応もみらりれ、かみつきという危機的場面で緊張度の高い保育者に受容的かかわりを求めるのは“酷”だという批判もあったが、受容的かかわり方についてもさまざまな角度から検討を加え、子供の内面に善悪価値を伝えるのは受容をおいてないということを保育者たちに提案した。
このことは、かみつきの予防法としてのみでなく、これからの保育所の課題として「子供を託す側」ヘの共感・受容をキーワードとすることが、保育者の子育て支援の可能性を高めると考えたからである。しかし、依然として乳児の担任たちは、かみつきに悩んでいる。


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